レクリエーション・チップス | 施設運営考察 |
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レクリエーション・バーンアウト |
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私が以前勤めていた事のある精神科の病院ではレクリエーションの責任者となった人間は必ず1〜数年で辞めていきました。どうしてかを考えていたのですが、自分がやってみていくつかの原因に気が付きました。その原因を列挙してみます。 1 過重な責任と無いに等しい権限とのアンバランス その病院では各病棟ごとにレクリエーション委員がいて、その上に施設全体のレクリエーション責任者を置く形となっていました。大体責任者は病棟主任(あるいは副主任)クラスから選ばれることになっていたのですが、病棟主任の権限は病院全体から見ると無きに等しいものでした。下から看護課の役職を上げると 平職員⇒病棟副主任⇒病棟主任⇒病棟副婦長⇒病棟婦長⇒副総婦長⇒総婦長 といった感じで、太字の役職が責任者になることが多いわけです。 この役職構造の中で主任クラスが動こうとすると病院どころか1病棟に対する決定権も無いため、どうしてもいちいち、各病棟や各部門にお伺いを立てながら計画を立て、立てた計画と異なる意見が出たら、また各病棟や部門にお伺いをしなおし、計画を立て直すという非常に巨大な手間がかかる事になります。 また、病棟で日々行うレクリエーションも施設全体で毎月行われる行事もすべてこの委員会で運営していたので、かなりの負担がかかったのは言うまでもありません。 なんとなく電気ショックを受けても逃げる方法がないと次第に逃げようとする努力すらしなくなり無気力なっていくという、心理学の動物実験を思い出しますが、同じように重く責任はのしかかるけど、それを果たすための十分な権限を持たされていないために次第に無気力になっていくという構図が出来上がります。 私の場合は、あまりにもその構造のまま仕事を続けるのはばかばかしかったので、私が責任者になったときに責任と権限の所在が出来るだけ一致するように、組織構造を改造してしまいましたが、改造するにもかなり労力がかかりました。他の施設ではここまでわけのわからないことはしてないだろうとは思いますが、結構似たような状況もあるのではないかと思います。 2 頑張れば頑張るほど増えていく仕事 実の所、レクリエーションにはここまでやれば良いという基準がありません。まあ、全員が楽しめればいいんじゃないかと言われるかもしれませんが、趣味の違い・年代の違いなどもある為、全員に適したレクリエーションなんて物はまずありません。 また、レクリエーションだけではなくほかにも業務はありますから大抵の施設では対象者個々に対応したレクリエーションを行うだけの人員の余裕も無かったりします。 私が勤めたことのある精神科の病院の、とある病棟では10代の若者から30年以上病院から外に出たことが無いという中年の人、80越えの高齢者まで入り乱れて入っていましたし、老健の方では足腰が若干弱っているけど頭ははっきりしている人や体は動くけど認知障害(旧痴呆症)を持っている人までいましたから、そのすべてに適合するレクリエーションなんて、そもそもあるわけないのです。 しかし、経営者からは全員に対してきちんとサービスを提供しろと言われるんですよね。みんな入院費は払っているんだから、公平にサービス提供しなければならないというのは、ある意味正論ではあるんですが、違う病気の患者さんに病気の種類なんてどうでもいいから全員に同じくすりを飲ませろというのと同じなんですよね、これ。 そのため、『仕事でやっている以上「無理です」で済ませるわけにはいかない』と真剣に考える人ほど、頑張って様々な工夫を凝らし、どんどんレクリエーション関連の業務量が増えていくことになります。 しかし、レクリエーションというものはうまくやれないからと言って、それが直接生死に関わるわけではありませんから、逆にあまり真剣には考えない人はどんどん手抜きをしていったりもします。 その事から仕事量のギャップが起こり、真剣に業務に取り組む人はそこで働くのがばかばかしくなり辞めていくという構図も見られます。 3 仕事による私生活の侵食 レクリエーションを行うということは、次のような行程を経る事になります。 (1) 行うレクリエーションの内容を考える (2) 内容に沿って、準備物品などを整える (3) 参加者を集める (4) レクリエーションの実行 (5) 後片付け しかし、通常の業務時間の中でレクリエーションに当てられる時間は(3)(4)だけということも珍しくないです。では、(1)(2)(5)をいつやるのかと言うと、通常の業務時間が終わってからやったり、他の職員が休んでいる休憩時間に行ったりします。特に準備物品の購入については、自分の買い物のついでだからそんなに負担にならないと自分自身に言い聞かせて、完全に私生活の時間をそれに当てたりしています。 (こっちも見てね) レク物品購入の負担軽減方法 また、経営者やレクリエーションの責任者を経験したことのない人は『レクリエーションの内容を考える』という事に考えるだけなら負担がかかるわけが無いと思っている、あるいはそんなこと自体を考えたことなどない為、これに関して配慮してくれることは殆どありません。そのため、単に業務量的な問題だけではなく、私生活まで仕事に捧げなければならない、しかも大変だということが誰にも理解してもらえないから、この状態が改善する見込みはないという精神的な負担はかなりのものになります。 4 他の職員との業務量の落差が激しい事 通常、仕事というものはいい意味でルーチンワーク化することによって、負担が減っていくのですが、いくら楽しいことでも毎日とか毎週同じ事をやっていては飽きますから、レクリエーションは真剣にやろうとすればするほどルーチンワーク化がしにくくなります。 2でも書いていますが、そのためにまじめにレクリエーションに取り組む職員とそうではない職員との業務量の落差は広がっていきます。 また、逆に手抜きをしている人は、レクリエーションを完全にルーチンワーク化して例年どおり、いつも通りで済ましますが、そうなると今度は明らかに内容がマンネリ化していき、面白みが減ることにより、周囲からの「なんでこんなマンネリな事を続けるんだ」というプレッシャーを感じ始めます。 結局、真剣にやる人は業務量が限界まで増加した時点で辞めざるを得なくなり、手抜きをしている人はプレッシャーが限界まで達した時点で辞めざるを得なくなるという感じで、私が勤めたことのある病院の歴代レクリエーション責任者は辞めていったのではないかと考えられました。 (昭和の年代から続く、過去のファイルを病院創立当時の物からすべて目を通したのですが、面白いことにこれらのタイプの責任者はだいたい交互に現れることが多いようです。異様に提案書が多い時代と形式的な書類しかない時代がほぼ交互にファイルされていました) |
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使える人が辞めていく不思議 |
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前のレクリエーションバーンアウトを読んでいただければ、不思議でもなんでもないような気はすると思いますが、下記に極端な例をあげて分かりやすく簡単に説明します。 ◎ 使える人の特徴 細かい気配りが出来る。 他人の手助けが出来る。 相手がいやな人でも、トラブルにまで発展させず対応できる。 知識が豊富で色々な業務をこなすことが出来る。 ◎ 使えない人の特徴 気配りなどはしない、唯我独尊。 自分の価値観を他人に押し付けようとする。 対人トラブルを起こしやすい。 必要な知識に欠ける。またその自覚が無いことが多い。 この2つが組み合わさると、仕事がどんどん使えない人から使える人に移っていき、使える人の負担が増え、限界に達した時点で辞めていくという図式が出来ます。使えない人もトラブル起こして辞めることが多いのですが、トラブルを起こしても自分に原因があるという自覚がないので使える人よりは長持ちしたりします。そして「悪貨は良貨を駆逐する」というわけです。 また、経営者から見ると、「他の職場を見ればもっと大変なところもある」とか、「どこに行っても、似たような問題はあるから辞めても同じだ」などと思うのですが、そこで働いている人にとっては自分の業務内容と給料パフォーマンスを一番比較しやすい相手は、自分の同僚なわけです。似たような給料しかもらっていないのに、同僚に比べて自分はこんなに仕事をしなければならないという感じで考えますので、仕事ができる人ほど辞めやすいというのは不思議でもなんでもないわけです。 |
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会議で活発な意見交換が出来ない理由 |
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「会議を開いても、誰も自分の意見を言おうとせず、単なる連絡会で終わってしまう。もっと活発な意見交換の場にしたいのになあ」 経営者のこんな言葉は良く聞きますが、それを改善するために何をしていいのか分からないという方が多いのではないでしょうか。 実のところ、活発な意見交換ができない原因はとても簡単に分かります。まず第一に単純な人数の問題が挙げられます。以下の簡単な図式を考えてみてください。 ![]() 2人で1対1の場面なら自分の意見を言わないでいることなど不可能です。発言しなければ、会話の場の保持が困難に成ります。 ![]() 3人でもやはり意見を言わないでいるのは難しいでしょう。3人中、他の2人だけが話している状態では、もう一人が話していないことが明確に分かってしまいます。 ![]() しかし、4人以上では集団の中に隠れることが可能となります。大勢の前での発言は、大抵の人にはリスクを感じさせますから、4人以上になると発言しない人がでる可能性が高くなります。もし活発に意見交換をしたいのなら、会議の人数を出来る限り減らすことです。活発な意見交換を行うことだけが目的ならば、3名以内が望ましいでしょう。 ただ、どうしても会議の人数を減らせない場合もあると思います。その場合はその会議の場で一時的にグループを作ってみるのも良いでしょう。例えば会議に9名出席している場合、何についての意見を出すのかを明確にした上で、3名ずつのグループを作り、時間を区切ってその中で意見を出してもらい、今度はその意見を元に各グループの代表者3名が話し合い意見をまとめるのです。9名で1時間話すより、3名ずつで各10分(計20分)話すほうが、はるかに建設的な意見が出るはずです。 次に、会議で活発な意見交換が出来ない代表的な理由は、情報不足が挙げられます。「仕事の情報ならみんなベテランだからちゃんと各自で把握している」とお思いになられるかも知れませんが、ここでいっている情報は仕事の情報ではなく、会議の情報の事です。 良い会議をするために、会議の参加者が持っていなくてはならない最低限の情報は次の3つです。 (1) 明確な会議の目的 驚くべきことに、会議で意見交換をしたいと思っているにも関わらず、これが明確でない会議というのはたくさんあります。このポイントは明確な目的というところです。例えば来月の施設行事を話し合う事でも、漠然と何をやるかの話し合いをするというのではなく、「最近低下している行事参加者数を増加させるような興味を引く行事内容を決定し、日程と場所、準備の係り分担を決めます。その後で参加予定者に各現場でどのように働きかけたらよいかの案を出し合いたいので、各自考えておいてください」など出来るだけ具体的な目的を各自に理解させて置くことが必要です。 (2) しっかりした会議のルール 会議のルールとは、会議時間なども含まれますし、会議の進行方法も入ります。会議の参加人数が多すぎるのなら、上にあげたような小グループに分割しながら進行するのもいいでしょう。また、その会議を行う上での前提条件もはっきりとさせておく必要があります。行事の話し合いだったら、使える予算や設備とかアルコール飲用の可否とかです。これらのルールや先の目的はレジュメなどにあらかじめまとめておくとよいでしょう。また、自由に意見が出しやすい様にするためには、意見を言っても業務上のペナルティはつかないという保証も必要です。 (3) ルールを守るという了解があり、破られないという保証があること ルールは守られないと意味がありませんから、その意味でもレジュメなどで明文化しておくことは重要です。また、会議上ルールが破られたり、目的から大きくそれたりしないように司会者がしっかり誘導したり、必要なら会議進行を横から支えるファシリテーター役を置くのも良いでしょう。 あと、会議の中だけの事ではありませんが、大抵ルールを破るのは、ルールを破るだけの権限を持つ人=経営者・組織のトップなどが多いです。会議中に話し合って決めたことでも、後日それを簡単にひっくり返したりしてしまうと、会議の意味自体が失われたりして、参加者のやる気がなくなり、会議が形骸化していきますので注意しましょう。 |
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